▽ story ▽

□“光の国の物語 U”
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chapter.01
旅立ちの朝


キュー、キュー!!


「ん‥‥ん〜‥」


耳もとで何かが鳴いてる。

気付いたけれど、エルナは起きれなかった。


キュ〜‥


静かになったと思ったのも束の間‥


『エルナーーーっ!!』


「―‥きゃぁ!!」

直接心に怒鳴り声。

がばっと上半身を起こした。


「‥あ、あれ?」

ここ‥どこだっけ?

エルナは一瞬どこに自分がいるのか分からなくなって、辺りを見回した。

すると、

「やぁ〜っと起きたな!」

「‥えっ?あ、アキト」

開けられた部屋の扉に寄り掛かりながら、アキトが立って呆れた声をだした。

「何寝呆けてんだよー、リリルが俺に起こしてくれって、助け求めにきたぞ。」

「リリルが?」

寝呆けていた頭が覚めてきた。

『だって、エルナ何回起こしても起きてくれないから、アキトに光のリングを使って起こしてもらったんだよ‥』

リリルがアキトの影に隠れて顔だけ出して言う。


「ごめんね、リリル。
 アキトありがとう、もう出なきゃいけない時間だよね?
 すぐ支度するから、そっちの部屋にいて。」

「あぁ、分かった。
 リリル、お前もこっちおいで‥」

アキトはリリルを促して扉を閉めた。


エルナは昨夜、寝付けなかった事はアキトに言わなかった。

旅の事を思うと寝付けなくて、
‥実は窓の外が少し明るくなりだした頃、やっと眠りにつけたのだ。


エルナは支度を済ませ、アキト達が待つ部屋へと続く扉を開いた。

彼の、足手纏いにならない為に。

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