‥◆ BLEACH SIDE ◆‥
□残思光 【修兵+イヅル】
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「この副隊長って地位は実力だったんですかね」
「何だよいきなり」
ぼんやりと前から歩いてきたところを無理矢理捕まえて、本当なら一杯付き合わせたいところだったが、まだ勤務時間中だからと仕方なく緑茶を片手に休憩と洒落込めば、いきなりな質問…いや、独り言だろうか。
一応は会話にするため返事をしてみる。
目の前の湯飲みを持つ手が微かに震えていた。
「護廷十三隊に入れたのは実力だと思ってます。でも…駒として使えるから手元に置いた、と聞いたら…」
「解らなくなったか?」
「…はい」
「お前、それを俺に聞くのかよ」
「え?……あ」
気付いたか。
現世での例の一件で目に留まり、そして、置いていかれたのは自分も同じだ―――置いていかれた、というのは適切ではないかもしれない。自分は連れて行ってもらいたかったわけではない。反膜の光が消える最後の一瞬まで一緒に行きたいと思うことはなかった。
今にしてみれば、何故という気持ちが大きすぎて、そんなことを思う余裕すらなかっただけかもしれないが。
自分の無力さに腹は立っても、今の死神の力に不満があるわけでも、あの人のように明確な思想があるわけでもなかった。
ただ、副隊長として、部下として、あの人の喉元に斬魄刀をあてた時、悲壮とも恐怖とも憤りとも言えない感情で手が震えた。
光を捉えることのない目が、確かに自分を見た気がした。