‥◆ BLEACH SIDE ◆‥

□瞑目 【弓親x修兵】
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 一夜で用意された一面の銀世界。周りの音全てをそれが吸収する。


 時々気まぐれのように行われる強制参加的行事―――不参加も可能だが、後でどんな面倒事を押し付けられるのかと思うと、大人しく参加した方が利口だ―――が終わり、誰もいなくなった空間を見渡す。
 これだけの雪を出現させるのは、やはり氷雪系最強の斬魄刀の成せる技だろうか。眉根を寄せながら小柄な体躯で斬魄刀を振るう姿が目に浮かび、思わず笑ってしまった。

「一人でニヤついて、みっともないね」
「あぁ?……綾瀬川っ!」

 突然かけられた声に振り返ると、いつの間に現れたのか、誰もいなかった筈のそこには竜胆色の袍を纏った姿があった。よく見るとその袍には金糸や銀糸を用いた上品で細かな刺繍が施されており、何処で調達したのか余程高価なものだと分かる。

 こいつって、五席だよなぁ。そんなに給料いいのか?―――まさか。誰かに貢がせてるのか!?いや、いくらなんでもそれはないだろ。でも待てよ。このナリだしな。こいつなら有り得るんじゃ…。そんな噂を聞いたことがないわけでもないしな……って、なに考えてんだ!!

 そのまま行くとあらぬ方向へ想像が飛びそうだったため、無駄に急速回転する思考を火花が散りそうな勢いで強制停止させた。
 クリアになった視界で改めて捉らえ直す。細身に纏った仕立ての良い袍はよく似合っていた。何にせよそんな恰好を見る限り、今日は非番のようだ。

「それにしても、ほんとにみっともないね」

 ショートしかけて若干の熱を帯びた頭が、雪まみれのジャージを一瞥して顔をしかめるのを察知した。あらぬ想像の後ろめたさをごまかすように慌てて整えたが、それは雪染みを強調する結果となり、どうやら逆効果だったらしい。見なかったものとして、わざとらしいくらいに視線を外された。

「あれは盾にでもなってるつもりだったの?」
「見てたのかよ」
「まぁ、その様子じゃ役には立ったけど相手にはされなかったみたいだね」
「…なっ、うるせえ!」

 何が楽しいのか、白い顔に笑みを乗せているのを見て気持ちが毛羽立つのを感じた。少し突っ掛かってみたくなる。


 
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