‥◆ BLEACH SIDE ◆‥

□日常小旋風 【一角+弓親…】
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 提出期限ぎりぎりの書類を無事に届け、一仕事終えた安堵から散歩気分で隊舎へ戻る途中。微かに鼻先を掠めた気配に、綾瀬川弓親は確かめるため手の甲を差し出した。

「あ、雨」
「何言ってんだ。こんなに晴れてるじゃねえか」

 そう言って隣を歩く斑目一角は頭上の遥かに広がる空を仰ぐ。視界が捉らえるのは蒼天。割り箸に纏わせる前の綿菓子のようなうっすらとした雲はあるものの、それが雨を降らせる様子はない。

「だって今、」


 ボトッ。

 バラバラバラバラバラ――――――。


 突如、一角の頭に降り注いだ。液体ではなく、固体が。
 弓親は視線を動かし、後が続く筈だった形に開いたままの口から、声に成り損ねた息を吐き出した。視線の先、固体の出現位置に撫子色の髪が揺れた。

「つるりんにあげるー!」

 砂糖菓子を連想させる撫子色の髪に小さな体躯、それに似合った無邪気な声は、しかし被害者にとっても無邪気かと言えばこの場合、否だろう。

「………弓親、アクセントは正しくつけろ…。そんで、もっと早く言え…」

 いきなり頭上から襲った物体とそれに続いた声から、一角は自分の身に起きた事象を弾き出した。
 辛うじて押し殺した声にそれでも抑えきれないものが滲む。この際、無邪気さよりも剥き出しの悪意の方が始末が良かったかもしれない。
 クッションのない頭頂部に容赦なく攻撃を展開した色鮮やかな包みの固形物は一角の足元を賑やかに飾った。弓親はそれを一つ拾い上げ弁解を口にする。

「今のは違…」


 ポツ。

 ザアアアアアアアア――――――……


 今度こそ固体ではなく液体が、一角の頭に降り注いだ。
 だから言ったのに、そう言いたげな顔が一角の方へ向いた。


 
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