‥◆ BLEACH SIDE ◆‥

□拠空、色無し 【一角x弓親】
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 太陽が落ち始め、辺りの空気は青から朱へと襷を渡す。
 一角は壁に背を預け、足元から伸びる自分の影を眺めた。

「あの二人が行くのは意外だったかな」

 隣に並ぶ弓親が先刻聞いた任務に対して初めて口を開いた。
 下された任務に関して、普段なら良くも悪くもすぐに何かしらの反応を示す弓親が暫く触れなかったのを見ると、これまでの任務とは異質だとを察しているのだろう。

「そうか?あいつら副隊長だろ。当然じゃねえか」
「そうだけど。それでもよく総隊長が許可したなと思って」

 あの事件の後、離反した三人の元にいた副官には否応なく疑いの目が向けられた。当然のことだ。
 共犯。そんな筈はないと思いながら、誰もがあの状況を正確に把握するため、有らゆる可能性を考えた。

「あー…。なんか考えがあんだろ」
「そうかな」
「つーか、お前が心配するのはあいつらじゃねえだろ」
「なに一角、僕に心配してほしいの?」

 弓親は壁に付けていた背を離し、横から一角を覗き込んだ。
 その表情が強張っているように見えたのは顔にかかる影の所為か。
 一角は短く息を飲む。

「……お前、油断すんなよ?危なくなっても助けになんか行かねえからな」
「そっちこそ。今度は総隊長たちもいるんだから卍解なんて使えないよ」

 差し当たって、一角の当面の問題はそれだ。
 前回の現世任務の際は派遣されたのが少数で、限定解除の許可を待っていたこともあり各々が目の前の敵で手一杯だった。
 しかし今度は違う。虚圏派遣組を除いた隊長格が全て行くのだから。しかもそこには総隊長もいる。誤魔化しは効かない。

「まぁ、なんとかなんだろ」
「ほんと、なんとかしてよね。僕、他の隊に移るなんてごめんだから」

 いつもと変わらない口調だが、弓親の目はいつになく真剣で鋭く、そして深い光を孕んでいた。

「分かってるよ」

 一角は弓親の肩に手を回し引き寄せた。そこに自らの意思を誓い、強く力を込める。
 受け止めた弓親の視線をそのまま焼き付けるように、一角は瞼をきつく閉じた。


 太陽が沈み始め、辺りの空気は朱から黒へと襷を渡す。
 弓親は一角の鼓動と自分のそれが重なるのに身を預け、足元から伸びる二人分の影が闇に飲み込まれるのを眺めた。

  ―了―


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