‥◆ BLEACH SIDE ◆‥
□拠空、色増し 【修兵x弓親】
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隊舍の執務室に戻った檜佐木を待っていたのは、手の平に収まるくらいの一枚の紙切れだった。
デスクに無造作に置かれたそれは両面共に白紙で、試しに透かしてみたがやはり何も書かれていなかった。
「珍しいな、お前が呼び出すなんて」
「デートの誘いじゃなくてがっかりした?」
誰が見てもただの紙切れ。時間も場所も、差出人の名前すらもない呼び出し状。そんなものに心当たりは一人しかいない。
夕闇が辺りを包む瀞霊廷の外れ、檜佐木が近づくと弓親が笑いながら振り返った。
―――果たし状の方がよっぽど親切だな。
霊圧のみを頼りにやってきた檜佐木は気付かれないように溜息をついた。
「で、なんか用か」
「用……っていうか、君も行くって聞いたから」
「ああ、それか」
現世での別働隊―――転界結柱の守護。その任務が下されたのは檜佐木の他にあと三人。そのうちの一人が弓親だ。
「君達二人は副隊長で、一角の実力は君も知っての通り。そこへ僕はなんで選ばれたのか」
「随分と弱気だな」
「ほんとにね。こんなこと今までなかったんだけどな」
弓親の指が斬魄刀の柄に触れた。
―――藤孔雀、いや瑠璃色孔雀だったか。
己の魂の声とも言うべき斬魄刀。その斬魄刀の能力を知った時、絶望する者がどれくらいいるのだろうか。
少なくとも檜佐木は今までそんな死神に出会ったことはなかったし、いると思ったこともなかった。ましてやこんな身近になど。
理解出来る、などと安易な慰めを口にする程、檜佐木も愚かではない。
推し量ることは出来ても、完全な理解には程遠い。
自身の立ち位置で受け入れられる可能性が無い能力への嫌悪と、個人的な造形の好みの嫌悪とでは違いすぎる。
―――それでもこんな……。