long story

□後編
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「……あのさ」

しばらくして、山ちゃんが口を開いた。

「ん?」
「なんていうか…裕翔に言っていいのか分かんないんだけどさ…」
「何? どしたの? 言っていいよ」

山ちゃんは頷きながら「うん…」と言った。
気になる…。

「オレさ…









ゆい先輩のこと好き……なのかなって…」










びっくりした。
しばらくは声が出なかった。
何故かサーッと血の気が引いた気がした。
背筋がひんやりする。

「…そーなんだ……」

だってゆい姉ちゃんが山ちゃんを好きなのはただの片思いって勝手に思ってて…。

だからこの恋は実ることなんて有り得ないって思ってたんだ。


…勝手に。


実るわけない恋をするゆい姉ちゃんを心の中でバカにしてたけど……勝手に不可能って判断してた自分が1番バカだ。
急に恥ずかしさが込み上げてきた。

「裕翔? ごめん大丈夫?」
「…あ、ああ、うん、大丈夫……」

それからも山ちゃんは色々話してくれたけど、頭に入ってこなかった。
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