long story

□後編
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「ん……」





しばらくして、山ちゃんは目を覚ました。

「……ゆー…と?」
「大丈夫? 全然目ぇ覚まさないから心配したよ」
「あぁ…ごめん。…ここ、保健室だよな…運んでくれたの…?」
「…うん」
「そっか……なんかごめんな。心配ばっかかけて…」





「……うん」

山ちゃんがあんまり哀しそうな顔で笑おうとするから、何も気の利いた事を言ってあげられなかった。

「オレもう大丈夫だか……いってぇ!!」
「山ちゃん!? 大丈夫じゃないじゃん! ダメだってもっと安静にしてないと…」
「……や、ゆっくり歩けば大丈夫だって。ほら」

そう言いながら、山ちゃんはヨロヨロと歩き出した。

保健室のドアが開く音がした時、僕はもう限界になった。
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