short story

□fall in love
3ページ/7ページ


次の日、学校に行くと、篠嵜がやけに嬉しそうだった。
だって今日は篠嵜の誕生日だし。

「篠嵜おはよ! はいこれプレゼント」
「あー! ありがとー!」

…あれ?
篠嵜が持ってるの…昨日高木が買ってたやつだ。
篠嵜は嬉しそうに、高木の方に駆け寄ってった。
何か話してる…。

それが気になったまま、授業が始まった。








――放課後、篠嵜があたしに教室に残ってと言ってきた。

「ごめんね、残らせて」
「いいよ全然! …話しって?」
「あのね…」








思った通りだった。
篠嵜は高木のことが好きだったんだ。
やっぱり高木からプレゼントもらったらしくて、嬉しくて仕方なかったらしい…。

「幼なじみのゆいに言うのもどうかなって思ったんだけどね…?」
「……うん、いいよ。大丈夫」

だけどあんま大丈夫じゃなかったよ…。
なんとなく分かってはいたけど結構ショック。


篠嵜と別れてとぼとぼ歩いてると、聞き覚えのある声がした。

「暗い顔だなぁ。運逃げてくぞ?」

前を見ると、高木が電柱にもたれかかってた。
制服のまま…。ずっと待ってたんだ。
もうみんなが帰ってから2時間は経ってるのに…。

「何してんの…」
「別に。暇だったから…かくれんぼ?」
「ばっかじゃないの。ガキ!」

高木がムッとしたのが分かった。

「ガキでいいし」
「あんたなんか…嘘付いて女とラブラブしとけばいいんだ! 一生そうしてろバカ!!」
「…あ?」

もう泣きそうだった。
でも泣き顔なんて見られたくない…カッコ悪い…。
なのに、歩いていこうとしたら高木に腕を掴まれた。

「ちょっ…待てって! どーゆーことだよ!」
「うるさい! なんで分かんないわけ!? 今日篠嵜にあげてたのは何よ! 昨日お母さんの誕生日だって言って買ってたやつじゃん!」
「ちが…あれは…」
「違う? じゃあ何が違うのか説明してよ!」

高木は何も話そうとしない…。

「…もういい。」

そう吐き捨てて歩いた。
後ろから高木の声が聞こえたけど、聞こえないふりをして家に帰った。

そして夜電話があった。
《どーしよー告っちゃった!!!》

…篠嵜からだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ