short story
□fall in love
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2008年、7月。
もうすぐ夏休みに入るっていう暑苦しい時に、アイツはまたあたしの怒りを増やした。
「高木ぃぃぃ! あんった何回同じこと言わせる気よっ!?」
「うわっ来た!」
「来た、じゃない! 待てこのバカ!」
逃げようとする高木の襟を引っつかんで、引き寄せた。
いつもこう。幼なじみの高木とは学校でケンカとか、あたしが叱ったりとか。
それを見てる友達ももう
慣れっこで、うちらは呆れられてる。
「まーたやってるよ…」
この子の名前は篠嵜。あたしの親友。
「ゆい、今度はどーしたの?」
「だって高木がっ…牛乳拭いた雑巾そのまま掛けといたんだよ!? 臭くてしょーがないし!」
「そんな細かいこと気にしてると小ジワ増えるぞ」
後ろから高木がぼそっと言った。
「…誰のせいでこんなにストレス溜まってんのか分かってる…?」
「俺?」
「分かってんなら怒らせるよーなことすんなっ!」
また追いかけっこが始まった。