short story

□大好きなきみへ
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電話が鳴った。


《今日会える?》

可愛くもぶっきらぼうにそう言って誘うのは…

オレの大好きな子。
彼女のゆい。

「うん。大丈夫」

だけどまだオレから好きとは言えてない。

だってハズイじゃん!
言わなきゃゆいが不安になるって分かってる。
友達だってそう言ってたし。
いつもゆいの方から好きだよって言ってくれる。
でも恥ずかしくて、どうしてもダメで、「あー…うん」くらいで終わっちゃう。

行動で示してるつもりではあるんだけど、やっぱり口で言わないと彼女ってのは不安になるみたいで…。

言いたい!

けど

言えない!!


くそ。オレにもう一握り勇気があれば…。

でも今は絶好のチャンス!
電話だから顔見えないし!
今日こそ言うんだ。
いつもは言えないけど、オレはゆいが好きだよって…言うんだ!

「ゆい!」
《ん?》
「オレさ……」

好きだ。好きだ。
ゆいが大好きなんだ!!!!
言え!
頑張れオレ!


「オレ…」








「オレ…っまずイチゴ食べたいなぁ!!」
《イチゴ? うんいいよ! 最近食べてなかったなぁ》


…結局言えないんだ…。電話でも直接でも、オレの臆病さは変わんないわけだ…。


でもホントに好きだからね?
多分宇宙一好きだから…。
この気持ちを言葉にするのはまだ無理かもしれないけど…。

いつか絶対言うから。

だから…



ゆい、





それまで待っててくれるかな…。
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