long story

□Loved... 4
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わけ…わかんないよ…ホントに…。

その場で泣き崩れる女の人を、先生がイスまで連れていって座らせてた。








なに?








この光景は夢? 現実?









なんだこれは…。






人の死ってこんなに呆気ないものなの…?


あんなに必死になってた先生達も……死んだらもうそれで終わり?








慧が運ばれてく…。
どこに行くんだろう…。




先生もその後に続いて行った。






あたしは女の人の隣に座った。






なんであたし…泣けないんだろ…。
隣を見ると女の人はもう涙枯れるんじゃないかってくらい泣いてるのに…。










しばらく黙って座ってると、落ち着き始めた女の人が話し出した。



「……ごめんなさいね…訳分からなかったわよね…」
「…へ?」
「慧の……母親です」






お母さん…?








あぁ…だからこんなに泣いてるのか…。



じゃああたしは何?




所詮はただの他人だから涙が出ないってこと?











「……あの子ね…ずっとうなされてたのよ…意識はないはずなのに……ゆい、ゆいって、ずっと……」







「だから電話調べようとあの子の携帯開いたら…あなたの名前があってね……」




え……?


あたしの?









じゃあ…もしかして一瞬だけ鳴ったあれは…慧からだったの?



「掛けようとした時に……車とぶつかったみたいで……」

言いながら慧のお母さんはまた涙を流した。



「…謝らなきゃって……そればっかり言ってて…」









謝らなきゃ…?





じゃあ…








さっき聞き取れなかったのは…








『ごめん』って言ったんだ……!









今更になって涙が溢れ出した…








あんな状態で…



あんな状態の中でも…まだあたしに謝ろうとしてたの…?





「……う……っ…うぅっ……」


泣いても泣いても枯れやしない涙は…


いつまで流せばいいんだろう…。
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