long story

□Loved... 5
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「オレ、帰って大丈夫?」
「……うん…大丈夫…」
「…なあ、さっきの女のこと気にしてる?」
「…うん……」
「もう来ないと思うけどなぁ」
「違うの……」

あたしがそう言うと、大貴はキョトンとした顔であたしを見た。

「……なんにも悪くない大貴が言われたことが嫌で…」
「え、そんなこと? オレは平気だよ」
「…けど……」
「オレがあんなことでへこたれると思うか?」
「……」

黙ってると、大貴は手を伸ばしてあたしの頬に触った。

「…!? 大…」

むにっ、って音と一緒に あたしの頬の肉が上に伸びた。

「ふぁ!?」
「ぎゃはははっ! ゆいこの顔かわいい!」


ジタバタ暴れて手を放させると、大貴はニッコリ笑った。

「オレはあんなの気にしてない。だからゆいももう気にすんなよ。…な?」

頭をくしゃくしゃ撫でられて、少し安心した。

なんで大貴はいつも、あたしが欲しいと思ってる言葉をくれるんだろう…。
不思議な感じ…慧とはまた違う安心感。

「…ありがとう大貴」
「おう! …じゃあ、これ以上いると伊野ちゃんに祟られそうだし、帰るわ」
「あはは。そっか。…じゃあね、ありがとね」
「うん、じゃ」

あたしは安心して家の中に入った。
大貴が「オレってカッコ付けなのかなぁ…」って呟いてたなんて、知る由もなく。
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