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□【Keito】
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女の子って言っても、僕と同い年くらいかな…。

「さ、Thank you…」
「日本人…だよね?」
「へ?」
「さっきおじさんと話してるとこ偶然見ちゃって…」
「キミも日本人なの?」
「うん」
「それにしては凄い上手いんだね、英語」

彼女は頭を掻きながら、

「8歳の時からずっとイギリスに住んでるから…」

と言った。
すごいなぁ…8歳の時からイギリスに居たなんて。

「じゃあ、さっきおじさんが言ってたことが分かったりなんて…」
「いい加減にしろ、バカにするな! 俺だって暇じゃないんだ、だってさ」
「やっぱり怒られてたんだ」
「ところでそれ、もし分かるところだったら案内できるかも」
「え、ほんと?」

紙を見せると、彼女は驚いた顔をした。

「ここ、あたしの行ってる学校!」
「え! すごい偶然…」
「来て、こっち!」

イギリスの街を自分の家の庭でも駆け回るかのように進んでく女の子。
無邪気なその姿につられて、僕は何も考えずに後に続いた。

「イギリスには今日来たばっかり…、みたいだね」
「うん。もう全然わかんなくて野垂れ死ぬかと思ってた」
「えぇ? 野垂れ死ぬぅ?」

女の子はケラケラ笑った。
すごいなぁ。ホントに英国みたい。
…って、英国じゃん。



 
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