long story

□Loved... 6
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「はい、どーぞ」
「さんきゅ」
「今日仕事は?」
「なんか…伊野ちゃんのことで少しの間活動休止になった」
「え! …そうなんだ…でもそうだよね…メンバーがいなくなるって大きいこと…」
「うわっ!?」

いきなり、大貴が大きな声を出した。
見るとコップがひっくり返っててお茶がじゅうたんを濡らしてた。

「あーあ」
「わりぃ! やっちゃった!!」
「いいよ! ティッシュティッシュ…」

箱ティッシュを持ってきて、お茶を拭いた。

「…ごめんな」
「いいよ大丈夫!」
「……」



急に、周りが暗くなった。

「…?」

顔を少し上げると大貴の顔がすぐそこにあった。

「え…」

どんどん近付いてくる。
…キス、される……?







でも大貴なら……



あたし、大貴ならされてもいいかも…






















って、あたし何考えてるの!!!

ダメだよダメダメ!!
慧のこと忘れられるハズないのに!
あんなことがあったすぐなのに!!!


けど手が動かない…。
どうしたらいいか分かんない…!



つむってた目をさらに強くつむる。








なのに、いつまで経ってもキスらしいものはこなかった。



「……ダメだ」



大貴はそう言ってあたしから離れた。

「…へ?」
「ごめん…やっぱ帰る…」
「え…大貴?」

立ち上がって部屋を出る大貴を、ポカンと見るしかなかった。
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