long story

□Loved... 6
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しばらくして、はっとして大貴を追い掛ける。

まだ門を出たところだった。

「大貴ッ!!」

ビクン、となって大貴が足を止める。

「大貴…あの……」


どうしよう。追い掛けたはいいけど何言えばいいんだろ…。

「…ゆい」

悩んでると、大貴が口を開いた。

「オレ……ダメなんだ。伊野ちゃんがいなくなって悲しいハズなのに…」

大貴は片手で目を押さえた。

「なのに……これでゆいはこっちを見てくれるって…チャンスだと思って……オレ自分がすっげぇ汚いセコい奴に思えるんだ…」

押さえてる手と顔の間から、涙が流れてきてた。

「ゆいが好きで…好きで好きでたまんなくて…!! オレのものにしたいって思っちまう…」
「……大貴…」
「ごめん。オレ…ゆいに何してやったらいいか分かんない…。いつか、絶対抑えらんなくなって…さっきみたいなこと…しちゃうかもしんない…だから…」
「大貴。…あたしね…大貴が居なかったらこんなに元気になれてなかったよ、きっと」

大貴は黙りこくったままだった。
もっとなにか気の利いた事言いたいのに…。
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