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□【Daiki】
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ボタボタと水が地面に落ちる。

「…てめぇ…」
「うわっ怒った!」

急いで逃げるけど、もう狙いは定めてあったからなかなか当たらずに逃げるってことができない。
…こうなったら…。

「…ちょっそれは無しだろ!!!」
「いーや、ありだね!」
「ぶわっ!!」

あたしが持ち出してきたのはホース。
同じ水なんだし、まぁいいでしょ。
口をすぼめて水を強くする。
前方にはずぶ濡れな大貴。

「お前さっきから反則ばっかじゃん!」
「やだなぁ、頭脳戦だよ。頭はあたしのが勝ってるねぇ?」

してやったり。
大貴は怒った顔をしたと思ったら、油断してたあたしの手から急にホースを奪い取った。

「…あっ!!」
「へっへっへ…頭だけじゃ勝てないぜ?」

イタズラな顔の大貴はホースを構えると、一気に水を放出した。


「きゃあーっ!!!」
「どーだ参ったか! 参ったっつったら止めてやる」

勝ち誇った憎たらしい顔であたしの周りをグルグル回りながら、大貴は言った。

意地でも言わないしっ!!

あたしはずぶ濡れになったままキッチンに行って、バケツに水を入れてきた。

「大貴! 調子乗んなぁ!!」

その声と同時に思いっ切り大貴に水をぶっかけてやった。

「げっ!!!」

水圧と量で、大貴はその場に尻餅をついた。
ぺたんと座り込んでア然としてる。
あたしはその前にしゃがみ込むと、大貴の顔の前に鉄砲を構えた。

「参った?」

大貴の手から、水鉄砲がカラン、と音を立てて地面に落ちた。
水のストックももうないみたいだ。












…勝った。



 
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