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□【Yuya】
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夏。
楽しい楽しい夏休み真っ最中。

…だけど…。



「……っだー! もういい! やめだやめ!!」
「えぇ!?」
「もうさ、アイス食ってさ、どっか遊び行こうぜ!」
「え、だってまだ全然終わってない…」
「んなもん後回しでいーじゃん。クランキーでいい?」

彼、高木雄也はそう言うと冷凍庫を開けてアイスを持ってきた。
ちなみにあたしの初恋の相手。
小さいときから知ってる、いわゆる『幼なじみ』。

あたしの気持ちを…雄也はまだ知らない。


「ほい」
「ありがと。ねぇ、やっぱり…」
「いーのいーの! 宿題なんてどうにでもなるって。
この俺に任しとけ」


アイスの封を開けて口に運ぼうとすると、冷気が漂ってきて口の周りは天国になった。

雄也は隣でガリガリ君を食べてる。

「つめてー! でも美味いな」
「遊びってどこ行くの?」
「そうだなぁ…海とか川とか?」
「そっかぁ。海だったらスイカ割りしたいなぁ」
「んな金どこにあんだよ」


アイスをガリガリとかみ砕きながら、雄也は笑った。

「…けどおばさんが怒るよ。宿題ちゃんとやれって」
「あぁ、そこは全然大丈夫」
「なんで?」
「お袋は今頃キンキのコンサートで盛り上がってっから」

あ、そうか。
今日はその日か。
しかも…確か今日は大阪だから泊まりとか言ってたっけ…。

「帰ってくんのは明日だし。
だから今日はマジで自由なの」


まぁ…それならいっか。
遊ぶくらい。

「おし。…貸して、ゴミ捨ててくる」
「あ、ありがとう」
「ついでに着替えてくんな」
「うん」



 
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