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□【Yuya】
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しばらくして、雄也が出てきた。
膝丈の半ズボンにグレーなノースリーブ、頭には黒い帽子でキマッてる。

「おー。カッコイイじゃん」
「当たり前。俺を誰だと思ってんだよ」
「たかぎゆうや。」
「…いや、たか『き』ね」


お互いに笑ったところで、あたしも立ち上がって出掛ける準備は万端だった。

ここは東京って言っても端っこで結構田舎な方だから、少し行けば川も森もある。


外に出て、雄也は家の壁に立て掛けてあった自転車を起こした。

「はい、乗って」
「うん!」

後ろの荷物置きに座って、雄也の腰に腕を回してつかまった。

風が気持ちいい。

「ゆい!」
「んー?」
「…俺ゆいが好…」
「え? なに聞こえない!」
「いや……あ、夜! 夜花火やろうぜ!」
「いいねぇ。やろやろ」

自転車を走らせながらの会話は難しい…。





ホントは聞こえてたけどね。

言うならあたしから言いたいんだ…。
ごめんね?



 
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