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□【kei】
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その後は店内のざわめきとレジの機会音だけが響いた。
そんな沈黙に耐え兼ねて、俺は近くにあったガムを掴んでレジに置いた。

それを篠嵜が眺めてるのに気付いて、言った。

「俺っ…このガム好きなんだよね!」
「へぇー何味? ぶどう?」
「そうそう! ぶどう!!」

話しながら、俺はまたさらに同じガムを乗せていく。

「……そんなに買うの?」
「だ、だって大好きだから!」
「相当好きなんだねぇ」
「うん……好き」

篠嵜に言ったわけじゃないのに顔が熱くなってく…。


バッカじゃねぇの。

今はガムの話してんだっつの!



「お待たせいたしましたー」
「あ、はい」

レジの店員さんがガムばっかピッピッってやってく。
いや、乗せたの俺だから仕方ないけどさ。

「1490円になります」

高っ!!!
え、ガムとアイスだけでそんなにいくもん?

でも返すのもカッコ悪いし、しぶしぶ金を出そうとした時、扉を抜けようとする篠嵜が見えた。

「あ…篠嵜っ!! ちょっと待って…」

急いで金を出し、袋を奪って篠嵜のところに走った。

「なに、どしたの?」
「あのさ…と、途中まで一緒に帰んね!?」
「別にいいけど…」

篠嵜にOKしてもらった俺は、小さくガッツポーズを決めた。


「荷物、カゴ入れる?」
「あー…うん、じゃあよろしく」

2人の荷物をカゴに入れて、並んで歩き出した。
篠嵜が隣を歩いてる。
そう思うだけで、心臓は壊れそうなくらい鼓動を早めた。

「伊野尾くん」
「は、はいっ!?」
「あたし、やってみたい事あるんだけど…いい?」
「え…なに?」
「ちょっと止まって」

……『止まって』?
止まってってなんだ!
止まってってなんだ!?
止まらなきゃ出来ないこと…。

キス or ハグ






うわーっ!!
うわーうわーうわーうわー!
どーすんの!
どーすんのこれ!
顔がどんどんほてってくんだけど!


とか考えてる間に、篠嵜の手が俺の肩に置かれた。

これは……キスかハグかっつったら…


キ、キス…??



 
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