short story

□花になれたら
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「きりーつ。…さよーなら」


帰りのHRが終わって、僕はいつも通り出口に向かう。
君もいつも通り、教室の花に向かう。

僕はそれを振り返って見るのが好きだった。
君がそこにいる。
その空間が好きだった。
君がいるこの教室が好きだった。


君はいつも花に話し掛けて、水をあげて…。

僕にも話し掛けてくれたらなぁ。…何度も『花』になりたいと思った。

だって、僕が花になってれば君に話し掛けてもらえるでしょ?
答えることは出来ないけど、キレイな花を咲かせて応えることはできる。



だけど現実的に考えて無理。

だから僕はいつもこうして、帰り際に君を見てる。


多分、君は気付いていないだろうけど。
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