short story

□花になれたら
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…いつしか欲はどんどん膨れ上がってきて、もっと見ていたい、もっと傍にいたいと思うようになっていた。

僕は、HRが終わってもすぐに帰る支度をするのをやめて、教室内に残る理由を懸命に探した。

その理由で1番都合が良かったのが、仲のいい男子が日直になった時、その子の1日の感想を代わって書いてあげることだった。

今日もまた日誌を書くことができる。
君を見ていられる。


「なぁ知念。ホントにいいのかよ? 日誌任せちゃってさ」
「いいっていいって! 大丈夫! 任せてよ!」

友達に何度も確認されるけど、逆に助かってるんだもん。



帰り、僕は日誌をゆっくり書いて、君はいつものように花に話し掛ける。

カリカリカリ、とシャーペンを走らせる音と、後ろから聞こえてくる君が花に話し掛ける声。
幸せな時間。



書き終えた日誌を教卓の引き出しに入れた。
顔を上げた時、不意に視界に入った君の小さな小さな背中。


声を掛けたい。
話したい。




欲はどんどん出てくる。





君が好きです、と伝えたい…。



 
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