short story![](http://id17.fm-p.jp/data/104/yuinovel/pri/91.gif)
□花になれたら
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…いつしか欲はどんどん膨れ上がってきて、もっと見ていたい、もっと傍にいたいと思うようになっていた。
僕は、HRが終わってもすぐに帰る支度をするのをやめて、教室内に残る理由を懸命に探した。
その理由で1番都合が良かったのが、仲のいい男子が日直になった時、その子の1日の感想を代わって書いてあげることだった。
今日もまた日誌を書くことができる。
君を見ていられる。
「なぁ知念。ホントにいいのかよ? 日誌任せちゃってさ」
「いいっていいって! 大丈夫! 任せてよ!」
友達に何度も確認されるけど、逆に助かってるんだもん。
帰り、僕は日誌をゆっくり書いて、君はいつものように花に話し掛ける。
カリカリカリ、とシャーペンを走らせる音と、後ろから聞こえてくる君が花に話し掛ける声。
幸せな時間。
書き終えた日誌を教卓の引き出しに入れた。
顔を上げた時、不意に視界に入った君の小さな小さな背中。
声を掛けたい。
話したい。
欲はどんどん出てくる。
君が好きです、と伝えたい…。