short story

□with you
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「もー。なんであたしまで…」
「仕方ねーじゃん。さっさと片付けて戻ろ」

ゆいの手には画鋲とテープ、オレの手にはポスター。
喋ってた罰として、オレ達は先生の仕事であるポスター貼りをさせられることになった。
30枚はあるから、1時間掛けて校舎中回って貼付けてこいってことなんだと思うけど。

オレにとっては嬉しい。
だって二人だけの時間をもらえたんだから。


「…ゆい」
「ん? …あ、裕翔」

振り向くと、嬉しそうに手を振るゆい。
その視線の先には3組の中島裕翔が居た。
中島もゆいを見て恥ずかしそうにしながら手を振ってた。

「何してんの?」

先生にバレないように中島が小さな声でゆいに話し掛けた。

「罰受けてる途中なの。喋ってるとこ先生に見つかっちゃって」
「…大変だね。頑張れ」

中島が笑顔をゆいに向ける。その間オレはずっとかやの外で。
少しくらいヤキモチ焼くわけで。中島が、憎く感じた。

「さて、と。じゃ、あたしらそろそろ行くね」
「うん。じゃね」

中島と別れて、オレ達はポスター貼りを続けた。
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