short story

□二人の記念日
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その日は、今日みたいに雪が降る日で。
俺達はファミレスで向き合って飯食ってたんだっけ……


「んと…だから、この日は動物園行って、次の日は………宏太?」
「……」
「宏太ッ!?」
「……え、あ、うんっ!? なに!?」
「大丈夫? 疲れてる?」
「いや! 全然!」
「ホントに?」
「ホントに!」


…あー。やっべぇ。
ゆいの顔見つめすぎてた。
夢中すぎだろ、俺…。

今度こそ、言うんだ。
照れくさくてなかなか言い出せないけど、今度こそ…!

「あの」
「それでね、この日は動物園ってことで…」
「あ、はい! うん! いいと思うよ、うん!」

だ…だめだ…今ので気力が…決意が…。
ふと、ゆいと目が合う。

「……っ」
「…?」

て、照れる…かわいすぎる…っつか俺、好きすぎる!
高鳴る鼓動に邪魔されて、なかなか言葉が出てこない。

「宏太…」
「なっ…何かデザート頼も! なっ?」
「え…」
「なっ? 俺ね、これがいい」
「…うん。…あたしは…」


ごめん、ゆい…。
忘れてるわけじゃないんだ。
こんな大切なこと、忘れない。
ただ俺に勇気がなくて
なかなか言えなくて

もし…もしも、その言葉を待ってたなら、ごめんね。
弱虫な、意気地無しな俺を許して?

今ゆいとこんな近くにいられてすっげー嬉しいんだ。
ずっとずっと見つめてたい。
胸がはじけそうなくらい、ドキドキしてるのがわかった。
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