short story

□会いたいのは君なんだ。
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トイレから戻ってきた時、明らかに薮は不機嫌だった。

「なに怒ってんだよ?」
「…お前が聞き分け悪いからだろ!」
「だから…俺はまだ帰れないって言ったろ」
「俺が代わりにやってやるっつってんじゃん!」

そこに他のメンバーも続々と帰ってきた。

「ちょっ…なにケンカしてんだよ!?」

有岡が止めに入るも、薮はまだ俺を睨み付けてる。

「光…いいから帰って寝てろ」
「いいって」
「座ってたって辛いだろ。見てれば分かる」
「うるせーな! いいっつってん……!?…」










目の前の景色が大きく揺れて、薮の腕に抱き抱えられた。

「光!? おい、光!!」
「…やっべ……はは…マジかっこ悪ぃ…」
「んなこと言ってる場合じゃねぇだろ! ちょっと…光ん家まで送ってくるわ」

薮は他のメンバーにそう言うと、肩を貸してくれた。
身体を引きずるようにして歩き出す。
でももう、歩くことすらままならないくらいフラフラだった。


 
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