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「大貴! あと少しだよ、頑張って!」
「んーッ!!」
入院から1ヶ月経って、今日からリハビリが始まった。
先生はあの大怪我で素晴らしい回復力だ、って言ってた。
大貴はその言葉が嬉しかったのか、張り切ってリハビリに臨んだ。
「あとちょっと…頑張れ頑張れ!」
「…っ…んがぁぁぁぁっ!!」
荒い呼吸に合わせるかのように汗が大貴の頬を伝う。
それが床に落ちるのと同時に、先生の声がした。
「はい、今日はここまで!!」
用意してあった椅子にどっかと座り、汗だくになった大貴がペコリと頭を下げる。
「大貴おつかれ!!」
「…おー…」
ゼェゼェと荒い呼吸のまま、大貴はあたしの差し出したタオルで無造作に顔を拭いた。
「じゃあ、今日は病室に戻りましょう」
「はーい」
タオルを顔に押し付けたままのくぐもった返事に先生はフッと笑うと、あたしをチラリと見た。
「…それとも彼女と散歩でもしてくるか?」
大貴は口に含んでた水を一気に吹き出した。
「げっほっ…な、何っ…せんせっ…」
「青春満喫してこいよ」
「…でもオレ車椅子でしょ?」
「嫌なのか?」
「だってなんか……カッコ悪ぃ…」
「……車椅子とは限らないんじゃないか?」
「へ?」
先生はニヤリと不敵な笑みを浮かべて、大貴に松葉杖を差し出した。