short story

□部活バカ!!
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「……ってあれ?」







なんだ、部屋じゃん。
夢…か。
だけどあの興奮は夢じゃなかった。
未だに鳥肌が立ってる。



「ひーかーるー!!」



窓の外からアイツの声が聞こえた。



…薮宏太。
サッカーがすっげぇ上手くてサッカー部の部長を努めてる。
男の俺から見てもカッコイイ奴だと思う。
容姿もだし、何より生き方が。

俺は急いで着替えて、パンを口に詰め込んで外に出た。


「おはよッ!」
「うっす」

うわー
爽やかな笑顔だなぁ、おい。
手には相変わらずサッカーボールの入った網。
いつもドリブルの練習をしながら登校してる。
呆れるほどのサッカー愛だ。
前にコイツにこんなことを聞いたことがある。

『薮はさ、好きな奴いねぇの?』

そしたらコイツ、こんなこと言いやがった。

『え、サッカー』

しかも満面の笑みで!
ふざけんなよって思うだろ!?
だってコイツ、すっげーモテんの!
俺の倍以上ラブレターもらってんの!
もう『薮レター同盟』とか組まれてるくらいモテんの!!

つまり



悔しいんだよ!!!



まぁ、カッコイイから分かるけどな?
分かるけど…

「大会まであと10日だな!」

隣で薮が言った。

「だなぁ…。早ぇなぁ…」
「大丈夫だよ練習してんだから」
「まぁ、な」
「頑張ろうぜ、副部長!」

薮が手を差し出してきたから、俺も手を差し出してハイタッチ。

「当たり前だろ?」
「っしゃー! 朝練行くぞ、朝練!!」
「おう!」




 
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