short story

□彼に夢中で
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「おっはよー!!」

教室に大きく響き渡る声。
これ、あたし。

篠嵜ゆい、18才。
声が大きいのが取り柄。
たまにうるさいって言われるけどね。

「今日も元気だな、篠嵜」
「あ、出た!」
「え、ひっでーな! 出たとか言うなよっ!」
「あらま。つい本音が」

うるさいって言ってくる大半はこいつ。
すぐ声が裏返るカワイイやつ。
その名も伊野尾慧。

高1の入学式の日、スリッパ間違えて履いてたことで知り合って…そこから何故か意気投合しちゃって今に至る。
何の縁なのか、3年間ずーーーっと同じクラス。
喧嘩友達であり、はたまた悪友であり、しかしながら親友でもある。

なんか3年間何をするにも伊野尾と一緒だった気がする…。

「あー。明日っからテストとか信じらんねぇな」
「伊野尾はいいじゃん!! 成績いいんだし…どーせ今まで100点以外はとったことないんでしょ?」
「いや、あるある」
「え、何点?」
「98点」
「……ばかッ!!」

おもいっきり伊野尾の頭を叩いてやった。
伊野尾は「なんでだよぉ」と言いながら頭をさすってる。
席が近いこともあって、こいつとは四六時中話してる感じ。






……そしていつの間にか、伊野尾のこと好きになってる自分がいた…。
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