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エレベーターに向かう途中、大貴は待ってましたと言わんばかりに話し始めた。
「沙緒はさ、ちっちゃい時からオレと遊んでて…いつも大ちゃん大ちゃんって言ってオレの後付いて回る感じだったんだ」
「うん」
「……あいつ…難病、なんだってさ」
うん、と言いかけたところで大貴のほうを見る。
難病…。そう言った大貴の声は、明らかに震えていた。
「…すっごい珍しい病気らしくて…治る見込みはないって、沙緒の母さんが言ってた」
「え…じゃあ…」
「医者なんて薄情なもんだよな。死ぬの待つしかないんだってさ…。余命も宣告されたらしいんだけど…まだ本人には言えない、って」
怒りに満ちていく大貴の表情。
「だい、き…」
「どーすりゃいいんだよオレ…。沙緒の無邪気な笑顔見てると泣き出しそうになるんだ…だけどあいつの前で泣いちゃいけない…」
大貴は涙目になりながらも唇を噛み締めて、涙を堪えた。
「……大貴にとって沙緒ちゃんは妹同然なんだね」
そう言うと、急に大貴の動きが止まった。
嫌な予感がする…。
お願い、頷いて…。
縋るような思いで大貴の顔を見つめる。
「……オレが初めて好きになった奴…」
予感は的中してしまった。
頭の上に大きな石を落とされたような、そんな激しい衝撃を与えられて、クラクラした。