long story

□Loved... 13
2ページ/8ページ


















ふわふわ浮いてる感じ…。
気持ちいい……。
ずっとこのままでいたいな。










「おーい、ゆいちゃーん」
「……ん」
「ゆい!起きなって!」
「んー…うるさいなぁ……」
「うるさいって何だよぉ。ほら、腹しまって!」




ゆっくりと目を開ける。


「やっと起きた。相変わらず寝起き悪いなぁ」
「え……?うそ……」







びっくりした。
や、びっくりしたどころの騒ぎじゃない。
心臓がばくばく……あれ?




あたしの鼓動が聞こえない!



「え?…え!?あれ?うそっ!?なんで!?」
「うん、今生きてないよ」
「ええええ!!!!」

ケロッと言われて、もう驚きを通り越してた。

「じゃああたし死んじゃったの!?」

服を掴んで縋り付く。
嘘だよ!そんな簡単に…。


でも何も言ってくれない。
ただただ見てくるだけ。

「な、何か言ってよ……」
「……」
「ねえ!!あたし死んだの!?」
「……」
「ねえってば!け…」

あれ?名前が出てこない。
分かってはいるのに、口に出せない。

「今は仮死状態だよ。だけどこのままだと肉体が死ぬ」

やっと喋り出したかと思ったら、今度は訳の分からないことを言ってきた。

「菓子状態?」
「そう、仮死状態」
「じゃあ……あたしあんこになるんだ…」
「うん……、え?」

キョトンとした顔で見られたけど、あたしはあんこにされて大福の中に入れられて…

「あの…」
「ん?」
「お菓子じゃなくて、仮の死の状態の、仮死ね」
「……ああ!何か変だと思った!」

かなり呆れた顔で見られたけど、なんか懐かしい表情だった。


「大人っぽくなったね」
「え、そうかな?」
「なんか更にカッコよくなっちゃって…」
「な、なんだよぉ、急に!」

くしゃくしゃな笑顔を見せるとこ。
照れるとちょこっとだけ肩を上げるとこ。
優しい目。時々裏返る声。

何も変わってない。
あの時のまま。


視界が揺れた。涙が溜まってる。

大好きなあの頃と同じすぎて……。
思わず抱き着いた。



 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ