long story

□Loved... 13
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「……ゆい?よく聞いて?」
「うん…」
「俺ゆいが大好きだよ。あの時は、本当にごめん。こうしてまた触れ合えてすげぇ嬉しい」

もう何も言えなかった。
泣きじゃくりすぎて、嗚咽しか出てこない。

「俺はもう、ゆいが幸せになってくれれば何でもいいんだよ。ゆいが苦しむ姿、これ以上見たくない」
「で……でもっ…」
「大ちゃんが…好きなんだろ?」





声色一つ変えずに言われて、何て返したらいいのか分からなくなった。

「俺はもう、ゆいを抱きしめてあげることも出来ない。何もしてやれないんだ。そんな俺に縛られてるゆいを見てるのは辛いんだよ」
「なっ、なんで…なんで人のことばっか考えてんの!?たまには自分中心に考えたっていいんだよ!」

叫ぶように言うと、にこりと優しく笑ってきた。

「……っ…う……」
「ゆい…」
「大好き…なんだよ?その笑顔も…声も!全部全部大好きなんだからッ!!変わったりしないんだから!!!!」






しばらく沈黙が流れた。
その間も涙は止まってくれなくて、あたしの啜り泣く音だけが響いてた。



「ゆい、さっき自分中心に考えていいって言ってくれたよね」


コクン、と頷くと、あたしの肩を掴んで目をしっかりと合わせてきた。

「じゃあ自分中心に言わせてもらう」
「……うん」
「俺のこと……大好きだってもう言うな。そんで忘れろ」
「え…」
「ちゃんと生きてる人を好きになって、幸せになって。そんだけ。簡単だろ?」

か、簡単だろって……。

「無理だよ…!やだ!!」
「ゆい……お願いだから…」
「やだぁ!やだやだやだやだ!ずっとずっと大好きだもん!絶対変わんないもん!!」
「ゆい!!」

突然大きな声をあげられて、ビクンとなった。

「……俺も大好きだったよ」

最後にフッと笑うと、段々と透明になっていった。

「や、やだ…いかないで…お願い……」

どうしたらいいの?



どんどん消えていく…。






 
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