long story

□Loved... 13
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あれから――沙緒ちゃんが亡くなってからしばらく経って、大貴の怪我も大分良くなってきた。


それでもあたしの中にはまだ沙緒ちゃんの言葉が残ってて、なかなか大貴と顔が合わせられずにいた。
顔見たら、絶対ドキドキしちゃう。
多分もっと好きになる。
でもそれって慧にも顔向け出来ないし、沙緒ちゃんにも……。

だけど大貴はたまに行くとすごく嬉しそうな顔をしてくれる。
全身から、好きだって溢れ出て……なんか犬みたい。
そんな大貴をあたしは宙ぶらりんのままにしてる。
1番残酷だ。

どうしたらいいのか分からない。
慧にとっても、大貴にとっても、1番いい方法ってなんなの?






部屋の片隅に置いてある写真を見る。

「慧……あたしも連れてってよ。辛いよ、こんなの…」




その時、開けてた窓からいきなり、本当にいきなり、強い風が吹いてきた。

「きゃ…!?」

風があまりに強くて、部屋の中のものが暴れ出した。






わけが分からず部屋の隅で縮こまってると、上から何かが頭を直撃した。

短くうめき声をあげる事しか出来なくて、そのまま倒れてしまった。





倒れ込んだ目の前には、あの写真立てが転がっていた。








 
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