long story

□Loved... 14
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大貴の表情はいろいろと混じってた。

驚きの顔、やっぱりって顔。
口元が緩みつつも目は驚いてる。


あたしは涙を拭うと、もう一度言った。


「好き。大貴のこと」

今度は絶対聞こえるように、ハッキリと。

「ゆい……オレ…」

言ったはいいけどなかなか顔が見れない。

「オレ、泣きそう」
「な、なに!?人には泣くなって言いながら!!」
「だってさぁぁぁ……」

目を潤ませながら笑う大貴に、また胸が締め付けられる。

「オレずっとゆいには恋愛対象として見られないって思ってた!」
「え?」
「だからさ、ちょっと諦めてたんだよ。付き合わなくても傍にいれたらいっか、って思い始めてて…」
「大貴……」
「でもやっぱ、こんなに嬉しいことねえって!!」

ホントに心底嬉しそうで、あたしまでまた泣きそうだった。
不安に思って変に怖がってた自分がばかみたい。

ちっぽけすぎた。

大貴はこんな思いでずっと居てくれたのに。



「あぁもうダメだ!ゆいあっち向いてて!マジで泣きそう!」
「え、別に目の前で泣いたっていいじゃん!」
「や、やだよっ!男がそんなの…」
「これまでも散々目の前で泣いてたのに?」

そう言うと大貴は言葉に詰まったみたいで、頬を膨らませた。

「うっ、うるせー!!」

顔を赤くしてそう叫ぶと、あたしの腕を引っ張った。

「きゃっ!?」





あったかい…。

すぐ横に大貴の顔があった。
表情までは見えないけど…。
大貴の腕はしっかりとあたしの体を抱えてた。


「びっくりした……」
「こうでもしないと、ゆいに泣き顔見られんだろ…」

耳元で大貴の声がする。
少し震えた声。
鼻を啜る度に震える肩に、あたしも腕を回した。

「ゆい?」
「うん?」
「……すっげぇ好き!」
「あははっ。…生意気大貴!」
「へへっ…」


大貴の鼓動が伝わってきた。




 
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