long story

□Loved... 14
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「ゆい……」








もう一度大貴の声が聞こえて、ハッとして離れた。


「ご、ごめ…」
「いや…オ、オレは全然…」




大貴の言葉は途中だったけど、その場に居られなくなって走って病室を出た。
後ろからゆいって呼ぶ声が聞こえたけど止まれなかった。

そのままトイレに駆け込む。
鏡の前で息を整えた。

「…はぁ……はぁ…はーーーっ」

鏡に写る自分を見つめる。
そんなに暑い季節でもないのに汗が流れてくる。



唇…。


柔らかかった。当たり前だけど。

まだ心臓のバクバクが治まらない。
キスをした瞬間の大貴の顔…。
すごい驚いてた。

今更、かな…。
もう大貴はあたしのことそーゆー想いで見てくれてはいないのかな。

勢いで行動に出ちゃった。
恥ずかしい…。



このまま帰ろうにも荷物置いてきちゃったし。
てゆーかこのままってあまりに大貴に失礼すぎだよね。


…戻らなきゃ。







しっかり汗を拭いて、呼吸を整えて、トイレを出た。


 
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