long story

□SEVENSH STORY 1
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しばらくの沈黙の後、ジャリッと音がした。
目をつぶって音に集中する。



徐々に近付いてきてるのが分かった。

すぐそばまで来たと思った時、音がしなくなった。





……来る。



右側に気配を感じていた。
ヒュンッ、と風を切る音が聞こえたのと同時に、右腕を顔の前に構えた。

ガツンと衝撃と音がしたのを合図に、腕に当たってた棒を取っ払う。

「…あ」

遠くに投げ捨てられた棒を、ダッシュは口を開けて見ていた。
その顔にパンチを入れた。






……手応えは確かにあった。
でもそれは顔じゃなく手に当たった衝撃だった。

顔の手前で、片手で軽々と俺のパンチを防ぎやがった。

「…う、あ……あああっ」

そのまま拳が握られていく。
痛みに思わず声を上げた。
だけどそんな俺を見て、ただニコニコと笑ってるだけだった。

「…くそ…離せッ!!!」

搾り出すように枯れた声を出す。
自分でも情けなかった。

「いいよ」

ダッシュはそう言うといきなり手を離して、変わりに腹に蹴りを入れてきた。

咳込み、その場に倒れ込んだ。


 
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