long story![](http://id17.fm-p.jp/data/104/yuinovel/pri/91.gif)
□SEVENSH STORY 1
4ページ/6ページ
しばらくの沈黙の後、ジャリッと音がした。
目をつぶって音に集中する。
徐々に近付いてきてるのが分かった。
すぐそばまで来たと思った時、音がしなくなった。
……来る。
右側に気配を感じていた。
ヒュンッ、と風を切る音が聞こえたのと同時に、右腕を顔の前に構えた。
ガツンと衝撃と音がしたのを合図に、腕に当たってた棒を取っ払う。
「…あ」
遠くに投げ捨てられた棒を、ダッシュは口を開けて見ていた。
その顔にパンチを入れた。
……手応えは確かにあった。
でもそれは顔じゃなく手に当たった衝撃だった。
顔の手前で、片手で軽々と俺のパンチを防ぎやがった。
「…う、あ……あああっ」
そのまま拳が握られていく。
痛みに思わず声を上げた。
だけどそんな俺を見て、ただニコニコと笑ってるだけだった。
「…くそ…離せッ!!!」
搾り出すように枯れた声を出す。
自分でも情けなかった。
「いいよ」
ダッシュはそう言うといきなり手を離して、変わりに腹に蹴りを入れてきた。
咳込み、その場に倒れ込んだ。