long story

□SEVENSH STORY 1
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「ま、頑張った方じゃない?」

上から声がする。
なんとなく耳に入ってくるだけだった。

「かなり手加減しちゃったけどね」

手加減した……?

力を振り絞って腕を立てる。
プルプル小刻みに震わせながらも力ずくで起こした。

「……手加減なんてすんじゃねえよ」

きょとんとした顔で見つめてくる。

「ダッシュ、てめぇに言ってんだ…。ナメんな…!」
「ナメてんのはあんたの方だ」

チビがガレキから飛び降りて、俺とダッシュの間に立った。

「手加減なしだったら今頃、ほぼ全身の骨折れてるよ」
「……っ」
「分かった?自分の実力。ほら、さっさと帰って。邪魔」



自然と口からフッと息が洩れた。
少し経って、自分でやっと笑いだと気付く。

「分かんねぇっつったらどうする?」

背中を向けてたチビが振り返る。
馬鹿にした顔してんだろうな。

そう思ってたら意外と真っ直ぐな目で俺を見ていた。

「あんたはさ、僕を倒してどうしたいの?」
「そんなの知るか。先の事なんて考えてねぇよ」
「……無謀にも程があるよ。自分でも馬鹿らしいと思わない?」

馬鹿らしい?
そんなの思ったこともない。


 
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