short story

□きみがすき
2ページ/4ページ







篠嵜のことを誘うのすら大変になったのは、やっぱり好きになったからだと思う。
事実、家に来るって言われて口から魂抜けていきそうだし。

バクバク言い過ぎてる心臓は今にも飛び出してきそうだし。



でももう今日なんだ。
迎えるしかない。


リビング。
テレビの台にはチリ一つない。

廊下。
角の取りにくい埃まで完璧に取った。


そして1番肝心な、僕の部屋。
朝起きて最初にベッドメイキングをした。
しわもなにもなく、新品みたいなシーツ。
テーブルも顔が写るくらいピカピカに磨いた。
ファブリーズしたから匂いも気にならない。

もちろん棚の中にはお菓子を用意。
完璧だ。
いつ来ても大丈夫。



そう思った時ちょうどインターホンが鳴った。
慌ててドアを開ける。

「篠嵜っ……え?」

開けるとそこには篠嵜じゃなくて、クラスメイトの姿。
名前良くわかんない。
っていうか覚えてない。
A子ちゃん、ってことでいいや。

A子ちゃんは何故か頬を赤くして立ってた。

「ど、したの?っていうか、なんで家知って…」
「あのっ、私…」







なんとなく。
嫌な予感がした。





 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ