short story

□S
2ページ/3ページ




さっきまでのニコニコな笑顔は消えて、どす黒い笑みに変わってた。

「ゆいだって我慢してるくせに」
「我慢なんかっ…」
「今ならまだ許してあげる。ごめんなさいって言ってごらん」



なんでこーなるの?
さっきまであたしのが上だったのに!







でも今ここで折れるわけにはいかない!







侑李の顎を少し持ち上げる。
一瞬、意外そうな表情を見せてきた。

あたしからこんなことすんの、初めてだもんね…。



そのまま顔を近づけてく。
あたしの顔を固定してた侑李の手の力が緩まってくのがわかった。

するすると顔から離れたその手は、ただ左右でブラブラと揺れてた。



もう唇が触れ合うって時、ピタリと止まる。





「キスする、って思った?」
「…え」
「しないよ。まだお願いされてないもん」





そのままパッと離れた。
ソファに座って、侑李の様子を横目で見る。


ちらりと見たけど…
いたはずの場所に姿が見えない。

まさか。

思わず振り返ると、後ろに侑李の姿。


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ