short story

□S
1ページ/3ページ







「ゆいー、ちゅー」
「やだ」
「…?ちゅーってば」
「だからちゅーが何?」


ちょっとトゲのある言葉で返す。
目の前には首を傾げる侑李。
でもしばらくすると、いつもみたいにニコッと笑った。

「なに、機嫌悪いの?」
「別に悪くないよ」
「じゃあ早く。ちゅー」
「そーゆー時はお願いするもんじゃないっけ?」

侑李は突き出してた唇を元に戻した。


そう、いつも侑李が言うこと。
あたしがキスしたいの知っていながら、少しSな侑李はからかってくる。

『キス、してほしい?』
『お願いしてみなよ』
『したいじゃなくて、してください…でしょ?』



あの可愛い笑顔で、あたしはどれだけお預けくらったことか!

…たまにはあたしが優位に立ってやるんだから。


「ゆいさ、僕のこと…」

侑李は急にあたしの顔を持った。
固定されて、動けない。

「僕のこと怒らせたい?」


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ