short story

□となりのおチビさん
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「お前ほんっと可愛くねーなっ」

ケンカするたび、あのチビは毎回毎回そう言ってくる。



「なに威張ってんのチビ!」
「なっ…チビって言うな!」
「チビチビチビチビ!チービ!」
「うわっ、チビのゲシュタルト崩壊が…!」
「ゲシュタルトぉ?」

変な言葉。
とうとう頭がブッ壊れたかと思ってたら、あたしを見るドヤ顔が現れた。

「お前ゲシュタルト崩壊知らねーの?だっせぇ」
「月謝だかタルトだか知らないけどさぁ。そんなことよりそれ、そろそろ返してくんない?」

ヤツ、有岡大貴の腕の先を指差す。
そこにはあたしのネックレスが握られてた。

「校則違反だかんな。返せねーなっ」
「あんたが違反を語るな!」
「お、やるか!?」
「上等じゃんよチビ助!」



「あー、また始まっちゃったな」



うちらがギャーギャー騒ぐ横でそう呟くのは、同じクラスの薮宏太。

「俺先帰るよ?」
「わー待て待て待てーいっ」

呆れ顔の宏太の前に有岡が立ちはだかった。
二人並ぶと背の高さが一目瞭然で、毎回笑いそうになる。

「あんなヤツと二人きりにされたら何されるか分かんないだろ!?」
「有岡ガンガン聞こえてますわよ」
「ま、仲良くやれよ」


うちらの会話噛み合ってない…。
困り顔のあたしと有岡を残して、宏太は教室を出ていった。


 
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