short story

□可愛い僕だから
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そんなある日のこと。

お休みだーと思って存分に寝坊してた時、インターホンが鳴った。

みんな仕事や遊びで出掛けててあたし一人。
大事な睡眠時間を妨害されて不機嫌になりながらドアを開ける。


「ゆいおはよっ!」





迷わずドアを閉めた。






なんで侑李が…!?





もう一度確認のために恐る恐る開けてみた。



「ゆい、お・は・よ!」


さっきより強調して言ってきた。
夢じゃない。

「な、なんで?なにしてんの?」
「ちょっとこれ…」

侑李は右足を少し上げて見せる。
膝のところに擦りむいたような傷があった。

「どうしたの、これ」
「転んじゃって…近くにゆいの家があったから助けてもらおうと思ってさ」

何も悪く感じてない。
助けてくれるでしょ?って自信に満ち溢れた笑顔だった。

「…ちやほやされすぎたな、こりゃ」

そう呟いてみると、侑李は当然のように

「可愛い子にはみんなちやほやするよ」

と言った。



「まぁいいや、上がっていいよ」
「わーいお邪魔しまーす」

怪我して助けてほしいってわりには元気だった。
…いつもこんな感じか。

ちょっとしたことでも頼ってくるんだから…。



「ソファー座ってて」
「うん!」


付き合ってた時も友達みたいに家に行き来してたから、上げることに抵抗は全くない。

みんなからは変わってるねって言われるけど

もしかしたら今までに家に上げてチョメチョメ…的なことがなかったからかも。
不信感がない、っていうか…。




そんなことを考えながら棚から救急箱を取り出す。

「よしっ、傷見せて」


足を持とうとした時、その手を優しく握られた。


 
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