short story

□I CAN'T SAY
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「ゆいってさぁ、高木とどんな関係なわけ?」

休み時間唐突に振られた言葉。

「どんなって…幼なじみってゆうか…」
「でもそれだけで小中高と一緒に通学する?」
「まあそれが当たり前だったしねえ」

そう。
幼なじみで私の好きな彼、高木雄也。

「いいなぁ幼なじみって」
「えぇ?なにが」
「なにがって…高木人気なんだよ」

ふと高木を見る。
相変わらず――かっこいい。

「んー、分からなくもない……」
「え?」
「や、なんにもない」
「あっそ。っつかただの幼なじみで終わらせていいの?もったいないよ」

分かってる。
私だって幼なじみのままは嫌。
だけど幼なじみの期間が長すぎて、逆にどう接したらいいのか分からなくなってしまう。

今のままじゃずっと幼なじみ。
それでも近くに居られるなら、って何度も考えてはみた。

でも誰かに取られるってことを想像するだけで怖い。
今の高木じゃなくなる。
一緒に学校に行けなくなる。
もう、近付けない。


そんなの嫌。

「そうだよねぇ…」

朝のように呟く。
隣で友達はずっとブツブツ言ってるけど、私には高木の姿しか見えていなかったし、高木の声以外ぼやけて聞こえていた。


どうにかなりたいのなら、行動するしかない。



そう思ってはみても、なかなか動けないのが現実の私だった。
高木の周りはいつも人がいる。
彼自身が呼び寄せるのか、不思議と集まって来ちゃうのか。
どっちにしろ、私に入る余地はないように思えた。



動かなきゃ。けど動けない。
激しい葛藤の末、結局動けない。
そんなことばかり繰り返してた。


 
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