long story
□Loved... 5
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「…ごめん……」
しばらくして、大貴はあたしから離れた。
「大貴…? 大丈夫?」
「大丈夫……」
あたしの目を見ようとしない。
大丈夫なはずがないんだ…。なんだかんだ言ってもやっぱり慧が大好きだったんだから。
一人にしておいた方がいいかもしれない…。
「あたし……話し終わったし、帰るね」
「…送ってく」
「え、大丈夫だよ! 外灯だってあるんだし…」
「いい、行く。…今ゆいにまでなんかあったら……オレどうにかなっちまう…。ゆいまで失いたくない」
「大貴…」
「送ってく。」
さっきより強い口調で、大貴は言った。
「うん…分かった」
慧の突然すぎる死は、本当に色んな人の心に大きな傷痕を残した…。
これからどうなるんだろう…。
慧がいなくなって…それでもあたしは生きていけるのかな…。
生きてる意味があるのかな…。
「…ゆい」
顔を洗い終わった大貴が洗面所から出てきた。
「…伊野ちゃんの後を追おうとか…考えんなよ」
……まるであたしの心を読んだような言葉だった。
「ぜってー考えんなよ」
「……はい」
大貴がいてくれて良かった…。
でなきゃ今頃、あたしはここにいなかったかもしれない…。