Secret×Lover

□The one
1ページ/7ページ











「やっぱり、もう少し休んだ方がいいんじゃないか?」



玄関で靴を履くカガリに、背中越しに声を掛ける。



不安そうに声を掛けてくるアスランに、振り返ると柔らかく微笑むカガリは口を開いた。



「大丈夫。…それに、もう遅くなるし、…心配するから」





既に陽は翳り、暗闇が支配する夜の世界へ変わろうとしている時刻。






…『心配する』のは、勿論、一緒に暮らしている、兄。




以前から『遅くなる』と伝えた事については、あまり咎められないが、突然そう告げると機嫌が悪くなり許可をくれないのだ。



…正確に言えば、拗ねる…と、言うのだろうか。




滅多な事で怒ったりしない兄だが、大切な妹に関する事には、そういう意味で、ある意味厳しい。








「身体、…その、…辛く、ない?」




済まなそうに、窺うよう言葉を紡ぐアスラン。



その言葉に、きゅっと唇を噛むと、頬を染めて恥ずかしそうにしながら、軽く握った左手で口許を隠し、瞳を瞬かせながら俯くカガリは、小さくこくんと頷いた。






The one
-Scene.After time.-













次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ