昼休み、唐突に尋問は始まった…。 「誕生日、何を貰うのよ〜?」 教室でお弁当の包みを広げ、さあ食べようという所でフレイがニヤニヤとした笑みを浮かべてきた。 「えっ?」 「え?…じゃないわよぉ。 プレゼント、彼に何を欲しいって言ったの?」 「いや…。誕生日だって、伝えてなくて…」 おずおずとそう答えたカガリの返答に、フレイは呆れたように大きく瞳を見開いた。 「ば…っかじゃないの――ッ!? 何で、どうしてよ?ケンカでもしたの?」 最初の一声こそ大きくなってしまったものの、落ち着きを取り戻して質問責めにする。 「そういう訳じゃないけど…。 聞かれもしないのに、誕生日を教えたら…何だか祝ってくださいって言ってるみたいじゃないか…」 「祝って貰うに決まってるじゃないのよ!!」 身を乗り出すように言い切るフレイに、カガリは少し仰け反り視線を逸らした。 「でも…」 「じゃあ逆に、彼が誕生日を教えてくれなくて、その大切な日が過ぎちゃったらカガリはどう思うの?」 「それ、は…っ、…」 押し黙ったカガリに、こういうことには不器用な目の前の相手には仕方ないかと溜め息を吐くと背中を押してやろうと考える。 「ほら。嫌なら今からでも、電話なりメールなりしなさいよ」 「う、ん…」 目の前で―――悪く言えば―――監視されているような形になってしまい、カガリは諦めたようにメールの作成画面を開いた。 けれど、何と伝えていいのかすら判らず困惑し、打ち込んでは消去して、打ち込んで…の繰り返し。 暫く格闘していると、突如、携帯画面が「メール受信中」と切り替わる。 操作中の出来事に、つい慌ててしまいながら受信メールを開いたカガリの表情がふっと綻ぶ。 その表情を見て取ったフレイは、よかったわね、肩を竦めて微笑む。 連絡くらい取った方がいいだろうと―――彼女自身としては、お節介の延長上で―――どうするのか窺っていただけで、携帯自体を覗き込むような事はしていない為、メールの遣り取りをして相手からいい返事が貰えたのだろうと思った。 放課後、準備室においで。 会議があるから少しの時間だけだけど、それでもよかったら。 最近は忙しいらしく、電話もままならないし、この前の日曜日も逢えなかった。 淋しいなら、「淋しい」と伝えてと言われている―――けれど、それも上手く言えない。 いつ、どんなタイミングで言い出せばいいのだろうか? 忙しいアスランがきっと無理をして毎日くれる「おやすみ」の電話で、『あと少しだけ』と伝えてしまうのは、迷惑にはならないのだろうか? |