「うわっ…いたたっ!」 次の瞬間に聞こえたのは、サラリーマンの呻き声。 そして、解放される腕。 恐る恐る瞳を開くとカガリの腕を掴んでいたその腕を誰かが締め上げている。 その人は、もう片方の指先でサラリーマンの襟元にある光る物をなぞる様にして溜息を零す。 「…こんな事、アノ会社の勤勉な社員さんのする事ではなさそうですね…」 吐き捨てるように冷たくそう言うと、怯んだサラリーマンは一目散に走って逃げて行った。 「あの…、ありがとう…ございます…」 長身のその人にペコリとお辞儀をするカガリ。 「別に、君の為じゃない」 振り返ったその人が素っ気なく言い放つ。 「…えっ…、じゃあ…、…どうして…?」 「あ、済まない。説明してるヒマはないんだ。」 相手と視線が絡むと、一瞬瞳を奪われるカガリ。 長身でスタイルも良く、顔もかなり整っているその相手。 ディープブルーの髪と、吸い込まれそうに綺麗なエメラルドの色の瞳が、一際印象的だった。 |