ガチャガチャッ! バタンッ!! 玄関の鍵を乱暴に開け、思い切り扉を叩き付け閉める。 「あ、おかえり。うわ、 やっぱり濡れちゃってる、早くお風呂入っておいで」 「ただいま、キラ。……うん、そうする」 微笑みながら出迎えてくれた、兄───キラの顔を見るとさっきのモヤモヤした気持ちが少し鎮まる。 渡して貰ったタオルで取り敢えず躯を拭き、促されたバスルームへと向かう。 キラは大学院生。 昔、私がまた幼い頃に両親が離婚した為、名字違うけれど、ちゃんと血は繋がっている。 離婚が決まって、それぞれ引き取られる事になった時、幼かった私はキラと離れるのが淋しくて大泣きして引き止めた…。 あの時、必死に抱き上げて頭を撫でてあやしてくれたキラが鮮明に記憶に残っている。 それから、キラは毎日電話をしてくれて…。 月に一度、必ず遊びに来てくれた。 半年前、親の転勤で遠くへ移らなければいけなくなった時に、たくさんの友達がいるこの場所から知らない土地に行きたくない…と私がキラに相談すると、お互いの両親に掛け合ってくれて、ちょうど時期が重なった高校入学と同時に一緒に暮らし始める事ができたんだ。 …私にとって、優しくて大好きなお兄ちゃんだ。 |