バスルームから上がり、ソファに座ると温かいココアの入ったマグカップを渡してくれるキラ。 「ほら。髪がまだ濡れてる」 ソファの背に回りカガリの肩に掛かったタオルでくしゃくしゃと拭き始める。 「だ、大丈夫だってば!」 そんな反応に笑みを零すとカガリの頭をポンと叩く。 「…何か、怒ってる?」 「えっ…!?」 「今日はなんかそんな気がしたから。ドア、乱暴にしてたし」 「…ん〜…。 なんかさ、すっごくヤな奴と会っちゃって…」 「…ヤな奴?」 ソファの背凭れに手を突き上から聞き返すキラを見上げるように首を逸らす。 「ほんっとにすっごい失礼な奴でさ…」 ぷぅっと頬を膨らすカガリにクスクスと笑うキラは、そのまま自らの額をカガリのそれに当てる。 「早く忘れるおまじない……カガリは笑ってるのが似合うから、ね」 「ん、わかった」 幼い頃、突然失った家族の和を恋しがり、淋しさから良く泣いていたカガリはキラに甘やかされてきた。 こんなスキンシップは昔から日常で。 その優しさに気を良くしたカガリはイライラしていても仕方ないと、キラの言葉通りにそれきり思い出す事もなく過ごした。 |