暫くキラの胸で泣いた後、カガリはベッドに横になっていた。 濡らしたハンドタオルをキラが渡してくれた為、瞼の上に当てる。 泣き腫らした瞳にその冷たさが気持ち良かった。 その間もずっと、キラはカガリの頭を撫でていた。 「キラ……」 「なぁに、カガリ?」 「……何も…聞かないのか…?」 ドアを開けた時から、様子がおかしいと思っているはずなのに、何も問い掛けてこないキラに呟くように口を開いたカガリ。 「…カガリが、話したくなったら…ね。…聞き出したくて、ドアを開けてって言った訳じゃないから…」 「…ごめんな…。心配掛けて…」 「謝らなくていいよ、僕のはお節介だから…」 自嘲めいた乾いた笑いを零すキラは優しい手つきのまま、頬を撫でた。 「…相手にされないって、辛いよな…」 「…カガリ?」 「気が付いたら好きになってて…、でもその相手は、私のことなんかなんとも思ってなくて…」 止まっていた涙が溢れ始める。 「…人を、好きになる事が…こんなに苦しいなんて、……知らなかった…っ…」 「…カガリ…」 カガリはキラに背を向けるように、壁側に向かって躯を倒してしまう。 「カガリは、その人に気持ちを伝えたの?」 「…だって、答えが分かってるのに…、伝えたって仕方ないじゃないか…」 「嫌いって言われた訳でもないのに?」 「それはっ……」 キラに言われた言葉に、反論できないカガリ。 そんなカガリの様子に、やっぱり…とキラは小さく溜息を吐く。 「ほら、こっち向いて!」 キラに促され、おずおずと顔を向けると少々乱暴に涙を指で拭かれて。 「もう泣かないの! …次に泣くのはちゃんと伝えて、ダメだった時!」 「…でも…」 「でも、だって、とかは言っちゃダメ!」 厳しい言い方に、怒られているような錯覚に陥り、肩を竦ませるカガリ。 「…気持ちを伝えられないでまま終わらせて、後悔しないで…」 「キラ…?」 今度は優しく、頭を撫でながら、諭すように伝えられ、カガリはキラを見つめる。 「その方が、ずっと辛いんだよ…カガリ」 そう優しく告げる、キラの瞳は愁いを帯びていて、胸が締め付けられる思いがしたカガリ。けれど、それ以上は何も聞けず、黙ったまま静かにゆっくりと頷いた。 |