「キラぁ、いってきます」 玄関で靴を履きながら、リビングにいるキラに声を掛けるカガリ。 「カガリ、今日の晩御飯、何食べたい?」 すると、キラが顔を出して問い掛けてきた。 「…? …なんでも…」 「今日は、カガリの好きな物にするからね」 「キラ…?」 「だから、『用事』が済んだら真っ直ぐ帰っておいで」 そう言って優しく微笑むキラにカガリは微笑み返す。 キラなりに、すごく気を遣って心配してくれているのが手に取るように判った。 「うん、ありがとう。いってきまぁす!」 ───ダメだって、判ってる。 それでも、ちゃんと伝えなくちゃ、気持ちにケリがつかないって、気が付いた。 ───私の、 気持ちだけでも、 知って貰おう。 昨日一晩考え抜いて出した答えを胸に、カガリは学校へと向かった。 ***** あっという間に放課後になり、カガリは1人教室に残っていた。 決心は変わらないのに、いざとなったら、胸の鼓動が速くなって、落ち着かなくなってしまった。 窓の外は、オレンジ色の夕日が暖かく輝いていて、カガリは一度、深呼吸をするとゆっくりと席を立ち、教室を後にする。 ―――向かうのは、 生まれて初めて、 好きになった相手がいる その場所…─── |